Archive for: 󈥪月 2013’

JAGATARA  「それから」 一

2013年10月3日 Posted by seki

1.「TABOO SYNDROME――いっちゃいけない症候群――」

JAGATARAが遂にメジャーデビューした第一弾アルバム「それから」(1989年)。

大きくうねるファンキーでアフロな味わいのあるビートが心地良い「TABOO SYNDOROME――いっちゃいけない症候群――」は当時の江戸アケミの危うい状態をストレートにぶつけたナンバーのように思います。

「今日もここまで来たのさ(別にあてなどないけど)
今日もここまで来たのさ(別にあてなどないけど)
そのセリフだけは言っちゃいけない(言っちゃいけない言っちゃいけない)
そのセリフだけは言っちゃいけない(言っちゃいけない言っちゃいけない)
そのセリフだけは言っちゃいけない(言っちゃいけない言っちゃいけない)
そのセリフだけは言っちゃいけない(言っちゃいけない言っちゃいけない)
お前がオレを愛してないことぐらい判っちゃいるけど
オイラにゃとてもお前なしじゃ生きていけない、
お前なしじゃ生きていけない、
お前なしじゃ生きていけない、
お前なしじゃ暮らしていけない
いそいそ出かけて、
いそいそぶらぶら出かけて、
いそいそ出かけて、
いそいそぶらぶら出かけて今日はどこまで行ったやら
やることなすことうまくいかない(そんなことないそんなことない)
やることなすことうまくいかない(そんなことないそんなことない)
やることなすことうまくいかない(そんなことないそんなことない)
やることなすことうまくいかない(そんなことないそんなことない)
あぶくぜにをつかんだ日には酒と女で夜がふける、
目がさめたら元のもくあみ、
目がさめたら元のもくあみ、
目がさめたら元のもくあみ、
目がさめたらベッドにゃオレ独り
オレはダウンダウンダウンダウンダウンダウン、
オレはダウンダウンダウンダウンダウンダウン、
オレはダウンダウンダウンダウンダウンダウン、
オレはダウンダウンダウンダウンダウンダウン
おっとあぶない近づいちゃいけない、
おっとあぶない近づいちゃいけない、
おっとあぶない近づいちゃいけない、
おっとあぶない近づいちゃいけない、
ころんだひょうしに思わず手を見りゃクソをつかんで運のつき
そのセリフだけは言っちゃいけない、
そのセリフだけは言っちゃいけない、
そのセリフだけは言っちゃいけない、
そのセリフだけは言っちゃいけない
とてもヘンピな気分さ(その気持ちおさえられない)
とてもヘンピな気分さ(その気持ちおさえられない)
とてもヘンピな気分さ(その気持ちおさえられない)
とてもヘンピな気分さ(その気持ちおさえられない)
そのセリフだけは言っちゃいけない、
そのセリフだけは言っちゃいけない、
そのセリフだけは言っちゃいけない、
そのセリフだけは言っちゃいけない、
そのセリフだけは言っちゃいけない、
そのセリフだけは言っちゃいけない、
そのセリフだけは言っちいけない、
そのセリフだけは言っちゃいけない、
そのセリフだけは言っちゃいけないんだってば」

このナンバーは病的です。心が病んでしまつた江戸アケミの心理状態が直截な表現でゆったりとしたファンキーなビートに乗せてぶちまけている作品です。

そこまで、追い込まれていた江戸アケミは、しかし、ビートの力を信じていたかのように、とんでもない歌詞を何食わぬ顔で歌っていると思われ、ある意味でこのナンバーは深い悲しみに満ち溢れた歌世界が広がっています。

「お前なしじゃ暮らしていけない」と悲痛な叫びを歌にした江戸アケミは、メジャーデビュー作にして既に身心がボロボロだったことをうかがわせる、江戸アケミの心の内がよく分かる貴重なナンバーです。

JAGATARA  「ニセ預言者ども」 四

2013年10月1日 Posted by seki

4.「都市生活者の夜」

アフロなギター演奏が海辺の波音にも聞こえる長めの無前奏から、JAGATARAの魅力のひとつであるせつない歌世界が広がってゆきます。ホーンの響きと言い、ギターのリフと言い、孤独な都市生活者の夜の世界が歌われる前奏で、もう、JAGATARAの音楽世界に打ちのめされます。

「LA LA LA LA・・・・・・・・・」

と女声コーラスが何とも物悲しく聴こえ、この「都市生活者の夜」は幕を開けます。

「人々が眠りにつくあいだに
もう一人の自分がゆらり起き出す
人っ子一人居ない月夜の道を
ただひたすらに走りつづける

さあ飛びのろう夢の列車に
夜のしじまに輝く星を
昨日は事実、今日は存在、明日は希望
昨日は事実、今日は存在、明日は希望
うしろからしがらみが追いかけてくるけれど
そんなことは少しも問題じゃない

同じように月夜の下で、同じように足をならし
同じように月夜の下で、同じように足をならし

今は午前四時少し前
今は午前四時少し前
朝焼けを待ちわびながら
終わりのないダンスはつづく

絆を失った砂漠の街で
小鳥たちのさえずりさえも消えて
都市生活者は笑いころげた
悲しいほどにただ笑いころげた

さあ飛びのろう夢の列車に
夜のしじまに輝く星を
まわりは宇宙的レベルで少しづつ変ってゆく
オレの言葉も空に舞ってゆっくりと弧をかき始める
昨日は事実、今日は存在、明日は希望
昨日は事実、今日は存在、明日は希望
子供たちの明るいざわめきが
街じゅうに響きわたるその日まで
オレは決っして忘れはしない
あの日のすべての出来事を

同じように月夜の下で、同じように足をならし
同じように月夜の下で、同じように足をならし

今は午前四時少し前
今は午前四時少し前
朝焼けを待ちわぴながら
終わりのないダンスはつづく

ほら、もう少しで君のゴールが
あの娘が笑いながら近づいてくる
君の手を振ってみてごらん
きっとわかってくれるはずさ

あの娘が笑いながら近づいてくる
あの娘が笑いながら近づいてくる
YAAy,Ya,Ya Yaa. Yaa
YAAy,Ya,Ya Yaa. Yaa

人生は軽いフットワークさ
人生は軽いフットワークさ

Woo・・・・・・Waa・・・・・・
Woo・・・・・・Wa,Wa.Wa,Wa.Waa・・・・・・

オレは忘れはしない
あの日のすべての出来事を
オレは忘れはしない
あの日のすべての出来事を」

歌詞を書きだしましたが、江戸アケミの詩的センスは抜群です。特に「昨日は事実、今日は存在、明日は希望」という歌詞は、何やらこの人間というもの、また、宇宙というものの本質をついているように感じられ、心に突き刺さるものです。

この「都市生活者の夜」はJAGATARAが此の世に送り出した傑作のひとつで、JAGATARAを際物バンドなどという偏見を抱いている人にとってもこの「都市生活者の夜」は身に染みるナンバーに思います。

それにしてもこのうら寂しい感じをアフロ・ビートで醸し出すJAGATARAというグループの凄さが際立つ一曲です。

それにしても「昨日は事実、今日は存在、明日は希望」というフレーズは、はっとさせるに十分なものです。