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佐村河内守 交響曲第一番「HIROSHIMA」二

2013年6月28日 Posted by seki

この交響曲第一番「HIROSHIMA」は、全体が75分ほどを要する大作となっています。全体は3楽章でできていて、楽章間には主題や動機の共有が聴けるので、全体が一貫性を持った壮大な交響曲になっています。

しかし、この無調の楽曲が主流の現代音楽の中で、佐村河内守は、この格調高い交響曲を書かなければならなかったのでしょうか。それは、思うに、彼が被爆二世として生まれた出自に関係した佐村河内守の心の奥底で、いつも鳴り響いていた主題が、どうしても絶えず轟音が鳴り響いていると言う佐村河内守の作曲するのさえ困難な状態にある中で、全体に美しい主題が鳴り響くことで、やつと精を繋いだ結果に生まれた作品が此の交響曲第一番「HIROSHIMA」だったのではないかと思えます。

佐村河内守は、第一楽章を「運命」、第二楽章を「絶望」、第三楽章を「希望」と語っています。確かに、この交響曲第一番を聴くと、音楽に関しての知識がなくても佐村河内守が述べている「運命」「絶望」「希望」が音に憑依したかのような圧倒的な迫力で迫って来て、それは、聴く者の魂を掴んで離しません。

佐村河内守 交響曲第一番「HIROSHIMA」 一

2013年6月25日 Posted by seki

ジャンルを問わずに私の好きな楽曲を取り上げながら、言葉で音世界を何とか描き出すことを試みながら、音楽作品が持つ魅力を伝えるブログです。

佐村河内守 一

現在、大注目の現代音楽の作曲家、佐村河内守氏は被爆二世の作曲家です。現在聴力を失っていますが、幼いころに母親にみっちりと叩き込まれた絶対音感のみを頼りに作曲しています。

その佐村河内守氏作曲の交響曲第一番「HIROSHIMA」(2003年)は、佐村河内氏が初めて交響曲に着手した作品で、それは、佐村河内氏が偏頭痛や聴覚障害を始めに感ずることになった17歳にさかのぼると言われています。この「HIROSHIMA」の陥穽には、実に20年以上の月日が流れていることになります。その間に、佐村河内氏は全聾になってしまいました。

その為に、佐村河内氏は、「現代のベートーヴェン」と言われていますが、その苦痛といったならば、筆舌尽くしがたいものに違いありません。佐村河内氏は現在、十数種類の薬を服用しながら、作曲が出来るほんのわずかな時間を全身全霊を込めて作曲しています。その様子は、テレビでドキュメンタリーとして放送されていますので、知っている人も多いと思います。