Category: ‘ブルース’

暗黒大陸じゃがたら 三

2013年8月22日 Posted by seki

「南蛮渡来」 二

2.「季節の終わり」

これは、パンキッシュなナンバーです。この「季節の終わり」は「詩人」江戸アケミの片鱗が垣間見られる詞を暴力的に投げかけます。

「何かが違う/ひとめくファッション・インテリ/快楽の象徴」との呟きではじまるこの「季節の終わり」は、JAGATRAの初期の魅力が凝縮したような一曲です。

そして、「BOY からみつく/歪んだ指の向こうに/繰り返す裏の裏が/季節の終わりは 機械仕掛けの/機械仕掛けの/ファシスト、ファシスト、ファシスト」とアグレッシブに江戸アケミが歌います。

ここに、鬱屈とした青春の未熟ながらも、世界に対して敢然と立ち向かうべく、その思いを強く感じる歌世界は、江戸アケミがその後抱え込む苦悩の予兆といった様相を呈したナンバーです。

この曲にニューウェーブの影響を読み取る人もいますが、これは、後にJAGATRAとして活動する暗黒大陸じゃがたらの初期のパンク色と何とも言えない哀しみが前面に出た名曲になるのではないでしょうか。

ロバート・ジョンソン 九(終わり)

2013年8月9日 Posted by seki

「Traveling Riverside Blues」

「If your man get personal want you to have your fun」とボトルネック奏法が冴えるギター演奏で歌われるこの歌は、こちらもブルースの巨人、サンハウスへとつながる系譜のデルタ・ブルースの代表曲と言ってもいい一曲です。

「Honeymoon Blues」

「Betty Mae,Betty Mae you shall be my wife someday」と歌い出されるこの一曲は、気持ちよさそうに歌うロバート・ジョンソンの歌声が何とも言えない味わいを醸し出していて、おもしろいコード進行を見せます。惚れた女性に結婚を申し出る男の率直な言い回しをブルースにして歌って見せた秀曲です。
「Love In Vain」

「And I followed her to the station」と気怠く歌うロバート・ジョンソンの哀愁のようなものが歌声に漂い、何度となくリフレインされる「All my love’s in vain」というフレーズにロバート・ジョンソンの人生が見えるような一曲です。この曲にはテイク2もあり、どちらも哀愁に満ちた作品です。
「Milkcows Calf Blues」

「Tell me,milk cow what on Earth is wrong with you ?」とボトルネック奏法が冴え渡るギターに載せて力強くも楽しそうに歌われるロバート・ジョンソンの歌声は、何か聞くものを煙に巻いているかのようにも聞こえ、しかし、ロバート・ジョンソンの歌声に備わっている哀愁のようなものはどうしても露わになる一曲です。テイク2もあり、この「THE COMPLETE RECORDRINGS/ROBERT JOHNSON」の最後を飾るのに名残惜しい一曲となっています。

以上、ロバート・ジョンソンの全レコーディング録音の二枚組アルバム「THE COMPLETE RECORDRINGS/ROBERT JOHNSON」を聴いてきましたが、ロバート・ジョンソンの曲は、深夜独りで酒でも飲みながらじっくりと聴くと、どうしようもなく、心に染み入る名曲ぞろいです。デルタ・ブルースに興味がある方は、是非、ロバート・ジョンソンの作品を聴いてみてください。しかし、派手なロック好きにはまったくつまらない作品かもしれませんので、その点はご了承ください。

次回からJAGATRAを取り上げます。

ロバート・ジョンソン 八

2013年8月7日 Posted by seki

「Drunken Hearted Man」

「I’m a drunken hearted man my life seem so misery」

と飄々と歌い出すロバート・ジョンソンの歌声は、哀しみを知り尽くした風格さえ漂う佳作となっています。ウォーキングベースが独特で、何とも言えないさみしい感じを漂わせた一曲となっています。

また、テイク2では、キーが変わったものが収められていて、人生の艱難辛苦を嘗め尽くしたロバート・ジョンソンにしか歌えない作品です。

「Me and The Devil Blues」

「Early this mornin’ when you knocked upon my door」

と「悪魔と並んで歩いた」とふてぶてしく歌うロバート・ジョンソンの歌声は、シンプルなウォーキングベースのギター演奏と相まって、デルタ・ブルースのルーツを聴くような味わいがある歌を披露しています。

テイク2もあり、聴き比べるも乙なものです。

「Stop Breakin’ Down Blues」

「Everytime I’m walkin’ down the streets」とどちらかというとアップテンポに歌うロバート・ジョンソンは、女性にもてたようで、そのさまを「かっとなるのはやめてくれ」と懇願するように歌っています。

テイク2は、テイク1と変わりないように聞こえますが、テイク2ではどこか緊張しているような歌言ぶりが聴き取れます。とはいえ、独特のウォーキングベースが出た・ブルースの神髄を聴かせています。

ロバート・ジョンソン 七

2013年8月5日 Posted by seki

「Hellhound On My Trail」

ギターとユニゾンに近い演奏をしながら「地獄の猟犬が付き纏う」と不吉な内容の歌詞を謳うロバート・ジョンソンは、何か預言者風なおもむきがあり、その不吉な内容の歌詞をどこ吹く風と言ったふてぶてしく歌い、更にこの歌の不気味さを際立出せています。

「Little Queen Of Spades」

「Now,she is a little queen of spades and the men will not let hjer be」と歌い出すロバート・ジョンソンの歌声は、どこかこの「魔性の女」の「queen of spades」らどうしても魅かれてしまう男の悲哀を謳っています。テイク2がなんだか生々しく感じられ、ロバート・ジョンソンの人生の一端を見るような歌です。

「Malted Milk」

「I keep drinkin’ malted milk tryin’ to drive my blues away」と何とも意味深に歌いだされるこの曲は、時に初とするようなフレーズをギターが奏でられ、それが、アクセントになってデルタ・ブルースの味わいをどっぷりと醸し出しています。ロバート・ジョンソンの歌には、何か人を超えた神かがり的なものが感じられ、どの曲も強烈なロバート・ジョンソン節が炸裂します。

ロバート・ジョンソン 六

2013年8月2日 Posted by seki

「If I Had Possession Over Judgment Day」

この曲はロバート・ジョンソンのボトルネック奏法が冴え渡る一曲です。歌詞の内容は、深刻なのですが、それを笑いのめすかのように軽快なボトルネックの響きが、ロバート・ジョンソンを囃し立てているようです。軽快な悲哀が印象的な一曲です。

「Stone In My Passway」

哀感が漂うロバート・ジョンソンの歌声にボトルネック奏法のサビが効いた物悲しい一曲です。「I got stones in my passway and my road seem dark as night」と歌い出すこの哀愁漂う一曲は、ロバート・ジョンソンが人知れぬ深い悲しみを持っていたことが解かる秀逸な作品です。

「I’m A Staed REolly Man」

「{I’m a stead rollin’ man I roll both night and day」と歌いだされる、これまた、ロバート・ジョンソンの深い心の傷が表白された一曲です。ウォーキングベースもどこか物悲しく、深刻な歌詞を飄々と歌うロバート・ジョンソンの歌声はかえって悲しもみを誘います。

「From Four Till late」

ウォーキングベースと同時に旋律を奏でるギターの音色が哀しみを誘う哀感が漂う一曲です。「From four until late I was wringin’ my hands and cryin’」と歌うロバート・ジョンソンの歌声は、やり場のない悲しみを飄々と歌うことで苗更その悲しみが印象に残る作品です。

ロバート・ジョンソン 五

2013年7月31日 Posted by seki

「Cross Road Blues」

この曲は、エリック・クラプトンなどがカバーしている名曲中の名曲です。この曲で、ロバート・ジョンソンのボトルネック奏法は全開です。「I went to the crossroad fell down on my knees」と歌うロバート・ジョンソンの歌声の呪術的な聞くものを掴んで離さない魅力があふれる名曲です。この曲には、荒々しいテイク1と、ゆったりとしたテイク2があり、どちらも聞きごたえ十分です。

「Walking Blues」

この曲もロバート・ジョンソンのボトルネック奏法が味わい深い名曲です。後にサンハウスなど、多くのブルースマンがカバーしている一曲です。「I woke up this mornin’ fellin’ round for my shoes」と歌い始めるその歌声に一発で魅了されてしまう名曲です。

「Last Fair Deal Gone Down」

この曲もロバート・ジョンソンのボトルネック奏法と、ストローク奏法が生き生きとした一曲です。「It’s the last fair deal goin’ down」と歌うロバート・ジョンソンの歌声は、水を得た魚のように表情豊かに聴く者の心を捕えて離しません。

「Preaching Blues(Up Jump The Devil)」

スピード感あふれるボトルネック奏法が何とも言えない妙味を醸し出している一曲です。この一曲は、ロバート・ジョンソンのギターが独壇場で、このギターの演奏を超えるギター奏者は今もって嗤われていないように思います。それだけ、ギターを弾きまくるロバート・ジョンソンは、その陰惨な歌詞を笑い飛ばすように歌い上げています。

ロバート・ジョンソン 四

2013年7月29日 Posted by seki

「Phonograph Blues」

相変わらずのウォーキングベースが冴えた一曲です。ロバート・ジョンソンの甲高い声から始まる一曲です。テイク1は、少し落ち着いた一曲として収められていますが、テイク2は、ロバート・ジョンソンが荒々しく歌っていて、情熱的です。ストローが冴え渡り、「phonograph」と歌うその様は、最早、ロバート・ジョンソンの独壇場です。

「32-20 Blues」

カッティングしたようなウォーキングベースが格好いい一曲です。曲が進むうちに、ロバート・ジョンソンは、我慢できずに、曲にアドリブ的な要素が加えつつ、とても情緒的な味わい深い一曲となっています。

「They’re Red Hot」

ストロークが何とも言えない味わいを醸し出す一曲です。ロバート・ジョンソンの歌声は、わざとしわがれた声っぽく歌っていて、ユーモアを醸し出しています。時折顔を出す、ロバート・ジョンソンの地声を織り混ぜるなど、やりたい放題の面白い一曲です、其処に魅力がある楽しい一曲です。

「Dead Shrimp Blues」

相変わらずの安定したウォーキングベースで、「I woke up this mornin’-nnn」と歌いだされ、何の飾りもないブルースに徹した一曲と言えます。ウォーキングベースにコードのカッティングなど、フィンガーピッキングの良さが前面に出た味わいのある一曲に仕上がっています。デルタ・ブルース・ブルースは、この一曲が一つの典型です。そして、もう一つが、ボトルネック奏法ですが、それは、次回に譲ります。

ロバート・ジョンソン 三

2013年7月28日 Posted by seki

「When You Got A Good Friend」

これもウォーキングベースが冴え渡る一曲です。ロバート・ジョンソンの歌声も「When You Got A Good Friend」と高音で歌い出し、チョーキングしてのコードを奏でるところなど何とも印象的です。これぞ、「デルタ・ブルースの基本」ともいえる一曲です。この曲には、「THE COMPLETE RECORDRINGS/ROBERT JOHNSON」には別テイクも収録されています。

「Come On In My Kitchen」

ギターと歌合がユニゾンのように歌われ、また、ボトルネック奏法もロバート・ジョンソンならではもの悲しい味わいの秀逸な一曲です。こんな風にギターと語るように歌が歌えたならば、と思わせる程にギターと歌声がぴったりと合ったナンバーです。これも「THE COMPLETE RECORDRINGS/ROBERT JOHNSON」には別テイクが収録されていて、別テイクは、ボトルネック奏法が荒々しく弾かれていて荒削りな一曲です。しかし、別テイクの方がロバート・ジョンソンの素が見えるようで侮れないテイクです。

「Terraplane Blues」

この曲は、ストロークがさえまくる一曲です。そこにボトルネック奏法の音色が印象的に響き、唸るように歌われるロバート・ジョンソンの歌声がノリノリな一曲です。こなれたギター演奏は、言うまでもなく、気持ちよさそうに歌うロバート・ジョンソンの魅力に圧倒される一曲です。

ロバート・ジョンソン 二

2013年7月24日 Posted by seki

・「I Believe I’ll Dust My Broom」

この曲は、ロバート・ジョンソンのギターが冴え渡る一曲です。ブルース・ギターの基本が既にこの曲で完成しています。ギターにのせて、気持ちよさそうに歌うロバート・ジョンソンの歌声が格好いい一曲です。しかし、ロバート・ジョンソンは、真夜中に聞くと火心に染み入ります。

「Sweet Home Chicago」

この一曲もまた秀逸です。ウォーキングベースと呼ばれるブルース・ギター特有のフィンガーピッキング奏法が、素晴らしくし、シカゴへの思いが歌いあげられています。ロバート・ジョンソンの歌声は、相変わらず、甲高くも哀愁がある独特の渋みが効いた歌合を披露しています。これまた、格好いい一曲です。

「Rambling On My Mind」

さりげない、ボトルネック奏法が光る一曲です。ウォーキングベースを弾きながらのボトルネック奏法は、意外と難し問いものなのですが、ロバート・ジョンソンは、こともなげに簡単にギターを弾きこなしています。歌合は、このあたりから一段とのってきたのか、素晴らしいものです。この曲には、別テイクが「THE COMPLETE RECORDRINGS/ROBERT JOHNSON」には収録されています。個人的には、ハチャメチャぶりが垣間見える2テイク目の方が荒っぽくて好きです。

ロバート・ジョンソン 一

2013年7月22日 Posted by seki

「Kindhearted Woman Blues」

アメリカの手前節的なブルースマン、ロバート・ジョンソンは、わずかに27年の生涯でしたが、その彼が遺した僅か29曲(41テイク)です。それが、エリック・クラプトンをはじめ、構成の音楽家に多大な影響を遺したのは、言うに及びません。

ロバート・ジョンソンは1911年、ミシシッピ州ヘイズルハーストに生まれ、1929年、まだ、16歳だったヴァージニア・トラヴィスと結婚し、彼女は、二人の子供を身ごもりますが、ヴァージニアは、出産の際に子供とともになくなってしまったのです。

そして、ロバート・ジョンソンは生ギター一本でブルースの弾き語りをして、アメリカ大陸中を渡り歩いていたのです。その中で、ロバート・ジョンソンの人並み外れたギター・テクニックに驚いた人たちから、ロバート・ジョンソンはいつしか「十字架で悪魔に魂を売るのと引き換えにギター・テクニックを身につけた」という伝説が生まれたのです。これが、「クロスロード伝説」です。

今回取り上げた「Kindhearted Woman Blues」は、「THE COMPLETE RECORDRINGS/ROBERT JOHNSON」の第一曲を飾る一曲です。この一曲で、ロバート・ジョンソンのピアノからそのテクニックを磨いたというギター・テクニックは言うまでもありませんが、ロバート・ジョンソンの甲高い声が哀愁を帯びて響き、δ・ブルースの神髄が堪能でせきます。