佐村河内守 交響曲第一番「HIROSHIMA」 (終わり)

2013年7月17日 Posted by seki

第三楽章は、静謐な調べの後に、弦楽器による荘重な調べとともに再び音圧がせり上がってきます。ある日とはこれをブルックナー的な、と表現していますが、確かに、その雄渾な調べは、怒涛の如く音が逆巻き、新たな始まりを予感させるものです。

トランペットと打楽器のもつれあいは、確かに何かが立ち上がった事を示しますが、然し、やがてそれも崩れ去り、再び静謐な調べに変わります。

しかし、一度この世に出現したものは、最早、その存在を消し去ることができずに、高らかに鳴り響くトランペットとともに「希望」の旋律が鳴り響き、最後へと一気に駆け抜けるように、しかし、その歩調は、どっしりとしたもので、確かにこの大地にたったものが、未来に向けて立ち向かってゆくさまを彷彿とさせます。

この佐村河内守氏の交響曲第一番「HIROSHIMA」は、現代音楽を避けるようにして生まれた作品で、しかし、随処に現代音楽要素が見え隠れしながら、作曲者の心の襞がはっきりと解かるかのようにマーラーの交響曲に匹敵するドラマチックな進行に心打たれ、また、圧倒されるのです。

最後の終わり方は、将に「希望」を感じさせるにふさわしい終わり方です。

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