「南蛮渡来」 三
3.「BABY」
「OH~、HEY/BABY、BABY、/BABY/BABY、それだけのことさ」とファンク・ビートを刻むギターのリフに乗って放たれる江戸アケミのヴォーカルに若者ならば誰でも抱くであろう、何者に対してでもない憤りのようなものを感じます。
JAGATRAの音楽には欠かせないホーンセクションの心に残る響きなど、怒りに満ちた祝祭のような味わいすら醸し出している一曲です。
何度も繰り返される「BABY」という言葉とは裏腹に、暴力的なフレーズが吐き出されるこの曲は、ファンキーなJAGATYRAの持ち味が存分に打ち出されているものとなっています。
「BABY」という言葉は、何度も聞いている内に心にこびりつき、まんまと江戸アケミの煽情に載せられてしまうのです。そして、知らぬうちに、自身の内部で「BABY」と叫んでいる己を見出しては、「やられた」と思わずにはいられない、アジテートする曲です。
この狂乱じみたJAGATRAが醸し出す祝祭に自然に参加させられてしまうのです。そして、いつまでも江戸アケミのヴォーカルによる「BABY」という言葉がエンドレスに繰り返されることになります。